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コレステロールは高い方がいい???

 先日、「コレステロールは高い方がいい?」というニュースを見かけました。これまでの常識と正反対ですが、本当に高い方がいいのでしょうか???

 コレステロールは高い方がいいと主張をしているのは、日本脂質栄養学会です。神奈川県伊勢原市の老人基本健診受診者(男性8340人、女性1万3591人)を約7年間追跡した結果、男性ではLDLコレステロール値が79以下の人より、100-159の人の方が死亡率が低く、女性ではどのレベルでもほとんど差がありませんでした。

 この結果を聞くと、コレステロールは高い方がいい、と思うかもしれません。でも、ちょっと待ってください。本当にそうでしょうか???


 例えば、車で高速道路を走るのに、時速何kmで走るのが一番いいか、という調査をしたとします。よく高速道路を利用している人を対象にして、10年間追跡調査をした結果、時速20km以下で走っている人の死亡率が高く、時速80-120kmで走っている人の死亡率が一番低かった、という結果になりました。この結果を聞いた時に、「スピードはできるだけ速いほうがいい」とか、「速度制限をする必要はない」というふうに思うでしょうか?
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 この調査の場合、時速20kmというスピード自体よりも、その人がなぜ高速道路を時速20kmで走っているのか、という理由が気になると思います。車の調子が良くないのかもしれませんし、その人自身の調子がよくないのかもしれません。いずれにしましても、健康な人がメンテナンスされた車に乗っている場合と比べて、死亡率が高くなってしまう可能性があります。つまり、時速20kmというスピード自体が死亡率と直接関係しているわけではなく、時速20kmで走っている背景が死亡率に影響を及ぼしているのです。

 では、コレステロールの場合はどうでしょうか?LDLコレステロール値が79以下の人というのは、正常よりかなり低い人たちです。この中には、栄養状態が悪い人も含まれるでしょうし、癌などの病気のせいでコレステロールが低くなっている人も含まれていると考えられます。結果として、死亡率が高くなってしまうことが考えられます。

 さて、みなさんが一番知りたいのは、「コレステロールが高い場合、そのままでいいのか、下げる努力をしたほうがいいのか」という点だと思います。これを調べようと思った場合、コレステロールが高い人たちを集め、治療をした場合としなかった場合とで、どちらが健康で長生きできるか、を調べるのが一番です。そして、そのような調査はこれまでに何度となく行われてきました。

 で、結論はというと……

 実は、専門家の間でも意見が分かれています。コレステロールが高めの方は数多くいらっしゃいますが、その全ての方々に治療が必要だとは言えないからです。特に、コレステロールは高いけれど、それ以外はいたって健康だという方の場合、治療が必要かどうかの結論は出ていません。一方、狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)の持病がある場合は、コレステロールを下げる治療をしたほうがいいと考えられています。また、コレステロールが高くて、高血圧や糖尿病などの持病がある場合も、治療したほうがいいだろうと考えられています。

 コレステロールは私たちの体に必要な成分です。コレステロールなしでは、私たちは生きられません。一方、多すぎるコレステロールが有害であることも事実で、錆びたコレステロールが体にたまってくると、狭心症や心筋梗塞を引き起こしてしまいます。

 過ぎたるはなお及ばざるがごとしなのです。



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by dreamwhile | 2010-09-13 01:25  

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